フォーレ ヴァイオリンソナタ2番のアナリーゼ

最近レッスンでフォーレを扱うことが多いので、フォーレの和声法の理解のために、個人的にも色々な作品を見直しています。

今回はヴァイオリンソナタ2番を少しアナリーゼしてみたいと思います。


wikiの解説

楽譜(imslp)

この曲は全体的にかなり半音階化された調域の広い和声法で作られていて、同世代のフランクや後の世代のドビュッシーやラヴェルを連想させる箇所がたくさんあります。

 

冒頭は和声を伴わない旋律のみの主題から始まります。一応KEY-Emなのですが、古典的な楽曲のようにトニックが強調されることはなく、主和音のEmコードはむしろ意図的に隠されています。

いつものように上にコードネーム、下にディグリーを付けていきます。最近は瞬間的に移調して、似たようなフレーズを作ったりするのに、ディグリーだけを見て移調しようとすると転回形がわかりにくいので、和声学の和音記号みたいにディグリーに転回形の記号を使っても良いような気がしてきました。そのうちまた考えます。

 

和声のポイントとしては、私にとってはフォーレと言えば3度、3度と言えばフォーレなのですが、このヴァイオリンソナタでは半音階がテーマになっているせいか、3度のみならず半音階的な和声連結がかなり出てきます。

始まってすぐに転調するのはフォーレに多いですが、5小節目2つ目の和音のFがKEY-Emにとってのナポリの和音、KEY-Dmにとっての♭Ⅲの和音になってピボットコードを経由した半音上への転調になっています。

 

そのあとすぐに戻ってきますが、6小節目のDmB7のところでラを共通音にして転調しています。この曲全体で使われる音使いとして掛留音がありますが、レの音がB7に入っても掛留しており、(この場合は#9thのテンションコード)全体を通してギリギリの不協和を好むような和声法で作られてます。弦楽四重奏も似たようなコンセプトですが、その辺をうまく真似るのかフォーレっぽい曲を作るポイントの1つになります。フォーレっぽく作る必要はなくても、示唆に富んだ技法です。

 

フォーレは様々な箇所でaugコードをトニックやドミナントで対応しますか、 7小節目のGaugに見られるように短調であることを強調するために、♭Ⅲよりも♭Ⅲaugを使うこともあります。

 

普通の♭Ⅲだとコードスケールとしてはアイオニアンになってしまい長調のⅠと区別が付かず明確な短調感を出しにくいですが、♭Ⅲaugにしてリディアンオーグメントやアイオニアン#5にすれば明確に短調感を出すことが出来ますので私も良く使います。
最後のGaugA7B(Bは単音ですが)はフォーレ終止ですね。

 

次に主題確保の部分ですがピアノのオクターブ奏法の低音フレーズによって反復進行のような第一主題の変形が上行で奏され、ヴァイオリンはそれに3度でハモっています。

 

単純化すると上の譜例のようになります(上がヴァイオリン、下がピアノ)。2声対位法というよりは3度のハモリ中心のフレーズですが、メロディー+和音伴奏というスタイルではない線的なスタイルは面白いです。

フォーレは教会旋法の影響なのかモードっぽい箇所がたまに出てきたりするのですが、和声を伴わないモードっぽいフレーズもたまに出てきます。

 

短い推移部分を伴って副次的主題に向かいます。
フォーレはナポリの和音をあらゆる場面で愛用していますが、この短い推移中にもフォーレらしいフレーズや和声の特徴が見られます。

例えば掛留を多用をして不協和を楽しんだり、古典的なカデンツを意図的に避けていたり、Ⅱ度の和音がⅡm-5ではなくⅡmになっている点です。 言うまでもなくこのⅡmはメロディックマイナースケール出身の和音ですが、メロディックマイナーやハーモニックマイナーの活用がフォーレの和声法の大きな特徴の1つです。

Ⅱm→♭Ⅵ→Ⅳm→というサブドミナントの代理の後に主要三和音のⅣに進んでいますが、これも古典和声と隔絶したフォーレに普遍的に見られる発想です。ドミナントも避けられていて(特にⅤ)フォーレが愛用する♭Ⅶの和音が最後に現れます。

スコアマーク「1」に入ると副次主題がスタートしますが、同時に転調の嵐の始まりです。

基本的にはバスが2度進行の和声で 1小節ごとに所属キーが変わっている非常に色彩感に富んだ和声です。クルクルと回る万華鏡のように私には見えます。
まずKEY-Em部分はF#m→F#m7/E→GM7/F#とドミナントを伴わないフレーズが始まり、特に面白いのがGM7/F#のⅠ7の第3転回形です(ポピュラーならⅠM7の第3転回形)。

KEY-Cに直すと上の画像のようなボイシングなのですが、バスの第7音と根音が短9度とでぶつかります。

ビバップ以降のジャズでよく見られる和音ですが、フォーレがこの和音を分析に書いてあるとおり♭ⅢM7の第3転回形として使っているのか、あるいはオルタードドミナントコードとして使っているのかはわかりません。

オルタードドミナントコードとして考えるならばF#7sus4(♭9th,♭13th)となり、次のFに対する裏コードのドミナントモーションになります(アッパーストラチャー♭Ⅱ)。

和音の形態からはどちらであるか?はわかりませんが、フォーレが オルタードドミナントとして使っていた可能も正直捨て切れません。

sus4のオルタードドミナントとかジャズの時代に生まれた理論なんじゃないの?と思われるかもしれませんが、sus4のオルタードドミナントにフリジアンやドリアン♭2を使ったりするテクニックは確かに名称が決められて万人にわかるように理論化されたのはバップ期かもしれませんが、用法自体はすでにドビュッシーやラヴェルの作品に見られることは既に何度かこのブログでも書きました。

 

マイルスデイビスもモードジャズを作るのに際して、近代フランスのラヴェル等を研究したと言っていますし、いわゆる音楽理論はほとんどクラシックに端を発しています。

 

この和音は♭ⅢM7の第3転回形ともとれますが、アッパーストラチャー♭Ⅱとも取れるため、判断がなかなか難しいところです。弟子のラヴェルの世代にこういった技法が既にあるわけですからその師匠のフォーレの時代になかったとは断定できません。この部分がオルタードドミナントのF#7sus4(♭9th,♭13th)でなかったとしても、フォーレがこの技法を知っていた可能性は大いにあります。

そこまでフォーレマニアというわけでもないので、今後もフォーレの作品を見ていく中で何かわかればまた書かせて頂きます。

 

次に冒頭と同じ転調調域であるKEY-F(またはKEY-Dm)に向かい、FFM7/EDmと和声進行が進みます。当たり障りのない、ポピュラーでもよく出てくる進行ですが、これも即座に転調します。

その後は3度転調の連続で、これはフォーレ和声の根幹をなす音程です。これはある種の反復進行と取るべきで、KEY-FからKEY-Aへ3度転調、KEY-AからKEY-Cへまた3度転調、KEY-CからKEY-Eへさらに3度転調、最後にKEY-EからKEY-Gへ3度転調と連続する3度転調です。ACEGでコードで言うとAm7を形成する転調領域です。

転調部分は基本的に全てピボットコードとして解釈することができます。フォーレに突然転調がないわけではありませんが(むしろいくつもありますが)、フォーレの転調の特徴として同主短調の所属和音を使用するという彼の傾向がここにも現れています。転入和音はフォーレの愛用の和音である♭ⅢやSDMのⅣmが多用されています。

 

基本的には反復進行なので、和声進行自体は同じものですが、徐々にクレッシェンドしながら盛り上がっていきます。最後に出てくるKEY-Gは主調のKEY-Emの平行調ですし、その後出てくるA7やF#mはKEY-Emのメロディックマイナー出身の和音のようにも聞こえるため(副属7とも取れますが)、グルっと回って帰ってきた感じです。

 

そして流れるような美しいフレーズが開始されます。F#7は一応KEY-Gでディグリーが書かれていますが、冒頭と同じKEY-EmのメロディックマイナーのⅡ7と取りたいところです。

♭13thの音がヴァイオリンで伸ばされて、次のラ#をシ♭とエンハモしてシャラン的転調(フォーレがよくやるパターン)し、KEY-Ebmへ進んで曲は続いていきます。○7で♭13thを伸ばすのはほとんどジャズのような音使いも面白いですね。

 

アナリーゼはここまでですが(気が向いたら続きを書かせて頂きます)、僅かこれだけでも難しいと感じる方がいらっしゃるかもしれません。フォーレの後の世代のドビュッシーやラヴェルに比べるとまだ簡単な方ですが、ポップスの歌ものと同レベルの知識でアナリーゼできるのはシューマン?(もうちょっと遡ってシューベルト)くらいまでで、その後のブラームスやフォーレ以降は割と真面目に勉強しないと難しいというのが多くの方にとっての現実的な問題なのではないかと思います。

 

アナリーゼを和声学ではなくポピュラー理論でこのブログでは行っており、どちらでやっても別に自分がわかれば良いとは思うのですが、いわゆる古典和声が通用しない作風ですので、ロマン派の和声や近代フランスの和声を「和声学」というアプローチから学ぶよりも、「ポピュラー理論」から入っていった方がわかりやすいと思います。

 

私が以前に書いた音楽理論の基礎本に書いてあること(+ちょっと和声の知識)がちゃんと理解出来れば大抵はアナリーゼすることが可能で、フォーレ(またはほかの作曲家)が好きであるとか、ハーモニーやコード進行についてもっと技術の幅を広げたいとか、純粋な作曲技術の向上を目指しているとか、自分の演奏する曲に対して理解を持ちたい演奏家の方など、色々なケースがあると思いますが、ちゃんと理解して音楽を受け取るというのは、結構楽しかったりします。

 

作曲という見地からも別にフォーレのコピー機になる必要はなく、またなることも不可能ではありますが、こうして得られる様々な知識、技術はやればやるほど膨大な量となって自分自身の作曲技術のバックボーンになってきます。
音楽はどちらかというと閃きが大切だと私は思っていますが、こういった知識・技術的な側面を無視することもできないのもまた事実であり、知識・技術はあればあっただけ得ですので(必要ないと感じたら使わなければいい)、作曲をなさっている方には大いにオススメです。

 

演奏に関しては、もちろんアナリーゼして作品の本質を理解していた方がいいと思うのですが、少なくとも日本と演奏家さん達はあまりこういったことに力を入れていないようで、個人的に知り合う様々な楽器の演奏家さんの方たちはこのあたりに関してはあまり明るくない方が多いです。

 

演奏家さん達に意見できるような立場ではないので何とも言えませんが、基本的には譜面に書いてある通り音を鳴らせば音は鳴るものの、楽器の演奏能力の向上と共に知性を発達させて、例えばフォーレならフォーレの作品が理解できるレベルまで発達した知性を持った演奏家が増えたときに演奏家さんたちの世界がどう変わっていくのか、また作品の演奏に作品を理解できるレベルの知性の有無がどのような変化となって現れるのかは個人的にちょっと興味があったりします。

 

テレビに出ているようないわゆる超一流の演奏家さん達は、多分こういったを理解して演奏していると思いますが、理解したからといって分かりやすく結果に現れる分野でもないと思いますので、なかなか難しいです。

 

フォーレの作品が全部が全部こういった高度なものではなくもっと親しみやすい、例えばシシリエンヌのようなわかりやすく美しい作品もありますので、フォーレに興味がおありの方は、まずはとっつきやすいところからスタートしみるのも良いかもしれません。

 

私自身も作曲のレッスンで、フォーレ(やドビュッシーやブルックナーやラヴェルやベートーヴェンなど)っぽいフレーズのお手本を生徒さんに作ってあげたり、あるいはその中身の解説をしたりするので、私自身もこうやって日頃から勉強をしないといけないわけですが、私自身としてもやればやるほど成長していく実感がありますので結構楽しかったりします。
それと同時にこういった大作曲家たちとは異なるアプローチ、異なる考えで、出来ればもっと進んだ私の時代なりの方法で曲を作ってみたいという気持ちも段々強くなってきます。
私は昔ドビュッシーやラヴェル、あるいはフォーレやベートーヴェンやバッハなどが好きでした。それは今でも変わっていません。

しかし、漠然と感じていた格好良さが理屈としてある程度までは理解出来て、自分でもその和声法を(ある程度まで)使えるようになると、なんだか種のわかった手品みたいで、種のわからない手品を見ている時の面白さはなくなってしまいました。

 

手品に高度な技術が必要で、また練習も積まなければいけないことはわかっていますが、少なくとも種がわかればそれっぽくすることは誰にでも可能であり、漠然とした憧れや尊敬以外の感情が生まれます。

種がわかると見方は変わってきますが、純粋に高度なものは技術として面白いですし、自分でもやってみたいという気持ちが起こります。

 

特に後期ロマンや近代フランス音楽がそうでしたが、自分では理解できなかったものに対する憧れは、内容の意味が分かり、自分でもある程度真似出来るようになると「かっこいい、こんな曲を作ってみたい」という初歩的なレベルを脱出してもっと別の感情が生まれてきます。

 

要するに「真似でいいのか?」ということですが、自分なりの作風の確立というのはかなり難しく、またいちいち考える事でもないと思いますが、この辺は私自身の課題としてじっくり取り組んでいきたいと思います。

 



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個人輸入で海外から楽譜を買ってみました。

個人輸入で海外から楽譜を買ってみました。

外国の出版社の本というのは基本的に専門書であれ楽譜であれ、日本国内で買うのと比べて多少高額ではありますが、この手の楽譜やテキストを買おうと思うと品揃えの点ではアカデミアさんが国内で1番強いと思います。

私も学生の頃よくお世話になりましたが、今回はアカデミアさんに在庫がなかったのでディアレッツォさんというネット輸入楽譜専門店でいくつかの楽譜を購入してみました。

Henri Challan – Mélodies instrumentales à harmoniser

注文したのはシャランが書いたバッハ、モーツァルト、フォーレ、ドビュッシー、ラヴェルなどの和声のテキスト(楽譜)合計7冊ですが、ネットショップの価格を見るとアカデミアさんよりかなり安いです。

この手の特殊なテキストはアメリカのAmazon (amazon.comで日本のアマゾンじゃないです)でも取り扱っていませんし、日本国内では販売されていないことが多いので、楽器屋さんに頼んで取り寄せてもらうのが常であり、学生の頃から何度かやったことがあります。

ディアレッツォさんはフランスのパリにある会社のようですが、日本語にも対応しており、メールでの問い合わせなどももちろん日本語で対応してくれます。

今回私が買った和声のテキスト(楽譜)はアカデミアさんでは5,000円程度で販売されていますが、ディアレッツォさんでは3,000円程度で販売されています。

普通に考えたら安い方で買った方が得だと思うのですが、実際に一通りの手続きをしてみると必ずしもそうではないので、思ったことを書いてみたいと思います。

 

送料

今回はとりあえずディアレッツォさんで買ってみましたが、取り扱いとしては個人輸入になります。今回楽譜を7冊購入しましたがまず送料だけで4,000円程度です(フランスからの国際便)。

価格が上がるほど送料が増えていくシステムなので、今回はこの値段になりました(価格が一定額を超えると強制で追跡サービス付きの値段の高いほうになります)。日本のようにたくさん買ったら送料無料のようなサービスはなく、むしろ逆にたくさん買うと送料が割り増しされていきます。詳細はこちら

送料だけで1冊本が買えてしまいます。

さらにここから関税、通関手数料、消費税が掛かります。

 

関税

税関のページでは、 20万円以下の個人輸入は簡易率になると書かれていますが、今回私が買った楽譜の総額は2万円程度ですので簡易税率になります。このうち関税がかかるのは本体価格の60%だそうです(課税価格が1万円以下の貨物の場合、原則免除)。

 

楽譜の場合は「7」のその他のものに分類されると思いますので関税率は5%です(多分)。

つまり商品価格(送料別)×0.6(60%)×0.05(5%)=関税となります。

例えば今回の楽譜2万円であれば課税対象は60%の1万2千円ですので,「¥12,000×5%=¥600」が関税になります。

 

 

通関手数料

通関手数料は通関手続きに支払う手数料ですが、以下のようになるようです。

1.国際郵便・EMSの場合:200円。

2.FedEx「500円(非課税)」または「関税・消費税の合計額の2%」のどちらか高い方

3.DHL
①関税+消費税の合計額が700円未満:無料
②関税+消費税の合計額が5万円未満:1,000円(外税)
③関税+消費税の合計額が5万円以上: 手数料は立替額の2%(外税)

4.UPS→「540円(税込)」か「関税+消費税の合計額の2%」のうちの高いほう

個人で輸入する数千円から数万円程度のものであれば通関手数料は千円程度でしょうか。今回は輸送会社がChronopostなのでまだ厳密な価格が解りません。多分1,000円くらいだと思います。

 

消費税

消費税に関しては言うまでもなく今の日本では8%なります。これは日本の場合は価格に併記されていることが多いですが、海外のショップだと当然日本の消費税のことは書いてありませんので、その分だけ安く見えてしまいます。

今回は「¥20,000-×8%=¥1,600」です。

これは海外のショップで支払った額とは別に後から請求されますが、個人輸入といっても基本的にはネットショッピングと変わりありませんのでほとんどの場合はクレジット決済になると思います。お店の決済で2万円だったとしても、そこには日本と違って消費税は含まれていませんので、後から請求されると感覚的に割高のように思えてしまいます。

 

まとめ

非常にざっくりとした計算ですがディアレッツァさんなどで個人輸入で3,000円の楽譜を7冊購入した場合、¥21,000-になります。

アカデミアさんの場合は同じものがおおよそ1冊5,000円ですので¥35,000-になります。

消費税に関してはどちらで買っても同じ額がかかるので考慮の対象外ですが、個人輸入の場合この¥21,000-に関税と通関手数料と送料がかかります。(ちなみにアカデミアさんは5,400円(税込)以上は送料無料です。)

送料¥4,029-+関税¥600-+通関手数料(Chronopostで多分千円くらい?)=¥5,600なので、¥21,000-+¥5,600=¥26,600(+消費税)が私が支払う総額になります。

こうを計算すると国内価格¥35,000-と個人輸入¥26,600-で差額は¥8,400にになりますが、ものすごく大雑把に考えてこの差額が国内で販売する業者の儲けになってくるということだと思います。

実際には商品を同時にたくさん仕入れたり、保険の問題なども入ってくるのでこんな単純計算ではないと思いますが、概ねこういう商売なのだと思います。

 

 

そして、これも大切なポイントなのですが、個人輸入で考えなければいけないのが様々なトラブルです。以前EASTWEST製品で有名なsoundonlineという海外のショップでソフト音源をパッケージで4つ買ったことがあるのですが、届いてみると3つしか入っておらず、当然アメリカのショップに英語メールで文句を言ったのですが、ちゃんと送ったの一点張りで取り合ってもらえませんでした。(明細には4つ送ったと書いてありました。)

ダウンロード販売だとこういったトラブルはありえないと思いますので、海外で音源やプラグインを買うときはダウンロード販売がお勧めです。

 

結局1万円程度でしたので泣き寝入りしたのですが、こういったトラブルは日本との対応とは全く別物と考えなければなりません。海外の場合は日本のように丁寧な対応をしてもらえる事はあまり期待しない方が良いと思います(海外と比べると日本は非常にサービスが丁寧です)。

こういった業者とのトラブルの他にさらに輸送中のトラブルも考えられれ、途中で荷物を見失うという可能性もゼロではありません。

 

海外から個人輸入するわけですから、他にも予測できない何かが起こるかもしれません。Amazonでヤマト運輸や佐川急便で配送されるのとはかなり勝手が違い、トラブルがあったときの対応もかなりめんどくさいです。日本語以外の語学が要求される場合も当然あると思います。

 

価格としては今回のケースの場合は個人輸入の方がざっくり計算で¥8,4000-円安いわけですが、こういったすべてのリスクや手続きを丸ごと飲み込んでくれるのがアカデミアさんのような輸入楽譜ショップであり、アカデミアさんで買えば普通に日本のお店で売ってる楽譜を買うのと変わりませんのでこういっためんどくさい事は全てお店がやってくれます。

配送も国内の配送会社ですからトラブルがあった時も対応は楽だと思います。万が一荷物が紛失しても国内の問題であればヤマト運輸や佐川急便や日本郵便は当然丁寧に対応してくれます。

 

 

まとめると多少のリスクを背負って数千円安く買うか、そういったリスクを上乗せした額を国内のお店に払うかどちらかになると思います。個人輸入でも国内で買うのと変わらずスムーズに購入できる場合ももちろんあるでしょうし、むしろその方が多いと思います。

 

ただトラブルが発生した場合、海外のショップ相手だと言葉が通じないなどのリスクも当然でてきますので、何かあったときに面倒臭いです。日本のような誠実な対応を期待できない場合も多々あります。

今回はディアレッツォさんが初見だったので、個人輸入で買いましたが、過去にトラブルがあったことなどを考えると人それぞれですが、アカデミアさんで買っても良かったかな?思いました。

ビジネスとしてやっているなら話は別ですが、個人レベルでたまにしか買わない小さいものなら多少高くても輸入に関するすべてのことはショップに任せた方が楽だと個人的には思います。。無事に届いたらまた記事を書いてみます。

お読み頂き有り難う御座いました。



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長管トランペットの話。

ロマン派までのオーケストラでは現在のような短管トランペットではなく、長管トランペットが用いられていたという記述をよく見かけます。

 

写真を見て分かるとおり通常のトランペットよりも大きいです。管も太く、長さも明らかに現在の短管トランペットに比べると長く見えます。

現代のトランペット奏者が使うトランペットは基本的に短管のB♭管をスタンダードとしていますが、古典時代からロマン時代初期にかけてはたくさんの種類の管があり、そのどれもが長管トランペットでした。

 

歴史的にはハイドンやモーツァルトの時代には実に様々な種類のトランペットがあり、替管を用いることによっていろいろなキーに対応していました。C管のトランペットは8フィート(2.4384m)もあったそうです。

 

 

当時はまだ現在のようなバルブシステム(バルブシステムの発明は1815年)はなく替管によって様々なキーに対応し、後は唇の緊張だけで様々な音を出すことによってフレーズを演奏するという現代人から見れば不便この上ない方法が行われていました。そのため古典時代のオーケストラでは、盛り上がる部分なのに突然トランペットがいなくなるなどの現代人から見ると違和感のあるオーケストラションが行われていることが多々あります。

 

これらは現代のCDを聞くと親切心からという意味なのか、聞き映えがするという意図なのか、指揮者が楽譜を書き換えて「本当はこうを書きたかったのだろう」という古典時代の作曲家の意図を想像してレコーディングされており、楽譜に書いていない音が鳴っていることもよくあります。

 

このようにたくさんの種類のあるトランペットですが、1800年代初頭近くになって色々あったトランペットの管はF管のトランペットに統合されていきます。これはウォルター・ピストンの管弦楽法によれば管長約6フィート(1.8288m)だそうです。

 

ブルックナー交響曲7番のトランペットパート

 

いま個人的にブルックナーの交響曲7番を勉強しているのですが、やはりトランペットはF管で書いてあります。

もちろんこの時代の作曲家のすべてがF管のトランペットを想定してスコアを書いたということはありません。例えばブラームスはトランペットパートに様々な管を用いています。ただブラームスはバルブシステムがあるにもかかわらず、ベートーヴェンの時代のような自然ホルンのようなフレーズをあえて書く作曲家なので、意図的に古い時代のトランペットを想定していたという可能性もありますが(私の偏見です)、ブルックナー以外だとマーラーの交響曲にもやはりF管のトランペットが使われています。

 

面白いのが、この方の記事サン=ジャコメの教則本(1870年出版)にトランペットのパートをコルネット(短管)で移調読みする練習があると書いてあるので、当時の作曲家がF管以外の様々な管で楽譜を書いても、実際にF管で演奏されていたかどうかはわからず、現代のように別の管で吹くという風習はこの時代から始まったのかもしれません。

 

現在の短管トランペット

現在のような短管トランペットがいつ作られたのは正確にはわかりませんが、19世紀の終わりの時期なのではないかと言われています。

このトランペットの長さは現在のメインであるB♭管であれば、約4.3フィート(1.3mちょっと)なので、古典時代のトランペットと比べると半分の長さということになります。

歴史な事は置いておいて、私が最も興味があったのは音色の側面で、管の長さが2倍近いのであれば基音も当然1オクターブ下になるはずであり、それで同じ音を出そうと思えば当然音色が変わってくるということです。

 

実際に長管トランペットの基音は現在の短管トランペットの1オクターブ下であり、当時の長管トランペット奏者は楽譜に書いてある事をそのまま吹いていると考えるのであれば、現在の短管トランペットよりも高次の倍音を吹いているということになります。

長管トランペットの倍音列(C管)

 

C管の場合、長管トランペットの基音は中央ドの2オクターブ下の音になります。例えば中央ドの1オクターブ上のドを鳴らしたいと思ったら8倍音を吹かなければならないということになります。

 

短管トランペットの倍音列(C管)

しかし現代の短管トランペットであれば中央ドの1オクターブ上のドを吹きたい場合は、4倍音を鳴らすということになります。管の長さが半分なので基音も1オクターブ上になるわけです。

いろいろな本あるいはネット上の記事を読んでいると長管時代から短管時代に移り変わる際には、トランペット奏者の戸惑い・不満も当然あったようですが、現在では多くの人が知っている通り短管に統一されています。総合的な面を見て短管の方が有利なのでしょう。

 

管の長さが2倍なわけですから、もっと深みのある音が出るように思いますが、こればかりは聞いたことがないので何とも言えません(ひょっとしたら何かのCD聴いているのかもしれませんが)。

 

古典時代の長管トランペットは12倍音(C管の場合は中央ドのオクターブ+完全5度)まで使用するのが一般的な常識だとウォルター・ピストンの本には書いてありますが、現代の短管トランペット奏者は8倍音、9倍音あたりまで使うのが基本となります(管によって高い音が出にくい出やすいというのがあります)。

 

つまりモーツァルトやベートーベン、あるいはブルックナーあたりまでが生きていた時代に演奏されていたオーケストラの金管楽器の音と現代の金管楽器の音は厳密には違うものであり、当時どんな音色で演奏されていたのかという点に非常が興味があります。

 

DTM音源では当然、長管トランペットの音色などあるはずもなく、基本的にはすべて短管トランペットの音です。古楽器をフューチャーした音源であれば長管トランペットもあるかもしれませんが、一般的では無いというのが現状です(個人的にはDTMで使ってみたいと思っています)。

 

(長管トランペットについてはこの方の記事が詳しいです。)

 

お読み頂き有り難う御座いました。

 



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偶成和音をジャズから学ぶアプローチ

BGMで色々作りたい方やボーカル曲で幅広いアレンジを目標とする方にとっての基礎的な内容の習得として今まであまりブログにジャズボイシングのアプローチのことを書かなかったので、少し所見を述べてみたいと思います。

和声学の偶成和音のジャズ版ように私が勝手に感じているジャズボイシングのアプローチですが、クラシックの作曲において偶成和音がいまいち上手く習得出来てない、あるいはよくわからないという方はジャズのアプローチを勉強するとヒントになるかもしれません。

シューマン 子供の情景よりトロイメライ(5小節目から)

まず偶成和音とは何?という方は上の譜例を見て下さい。(動画は18秒あたりから)

有名なシューマンのトロイメライですが、3小節目のFmの部分がいわゆる偶成和音です。これはアルトに相当するパートの半音階的な経過音によって偶然発生している和音であり、ノンダイアトニックコードですが、こういった和音が挟まることによって調的な広がりや響きの豊かさを得ることが出来ます。

和声学の本にも偶成和音については書かれていますし、実際のクラシックの作品において偶成和音の譜例には枚挙に暇がないのでわざわざ説明の必要はないかと思いますが、言葉のみで簡単に説明すると「コードトーンや経過音などの非和声音が集まり、カデンツに矛盾して成立している和音」のことを指します。

実際は偶然そうなっているというわけではなく、意図的に豊かな響きを求めて行うもので、作曲家ごとに使い方に個性があったりします。

フォーレっぽい偶成の用法

例えば先日の記事でフォーレの弦楽四重奏を軽くアナリーゼしてみましたが、フォーレなら偶成の借り元を同主短調や準固有和音調(同主短調のダイアトニックコードを主和音とする調)に求める傾向があり(すべてがそうという意味ではありません)、色んな作曲家の曲を分析・解析するうちに傾向予測が出来るようになります。

 

上の譜例ならソプラノの最初のシと最後のソに対してEm→Gという和声付けがされています。ソプラノはシ→シ♭→ラ→ソという風に一部クロマチックオルタレーションを含み、シ♭に対してE♭という偶成和音を当てていますが、この和音は同主短調の♭Ⅲを借りてきているわけで、フォーレが好んで用いるパターンの一つです。

こういったことを言い出したら、また記事が長くなってしまうのでこれだけにしたいのですが、色んな作曲家の偶成の使い方には個性があり、時代によっても違います。既に自分なりのお気に入りの偶成和音の使い方を確立している作曲家の方もたくさんいらっしゃると思います。

 

なかなか素敵な偶成和音なのですが、レッスンで和声をやらせて頂いている中でどうにも感覚が掴みにくいという方が多く、独学でやってらっしゃる方にも偶成和音の意味はわかるけれど、いまいち実際に自分が使う上では上手く活用出来ていないという方のために、ちょっと趣向を変えてジャズのアプローチを勉強してみると良いかも?と思いました。

 

クロマチックアプローチ、ドミナントアプローチ、ディミニッシュアプローチ、etc…など色々あり、バップ期までのジャズよりも近年はもっと発展的なアプローチの用法もあって、ある意味偶成和音に近しい考え方をしています。

 

例えばコードがFの時にドソラというメロディーがあったとします。これにFコードに合わせてハモリを付けると次の譜例のようになります。

 

特に難しいことはなく、Fコードの下にFM7のファラドミの音を下に足しているだけでいわゆるハモリと言い換えても良いかもしれません。響きとしてはトップにある2つ目の「ソ」を除けば完全にFM7の範疇なのでよく言えばコード通りの協和度の高い和声付け、悪く言えば変化のないつまらない和声付けです。

これにジャズでいうところの「ディミニッシュアプローチ」を行ってみましょう。

真ん中のトップが「ソ」の下にB♭dimコードが割り当てられてちょっと響きが豊かになっています。このレ♭は何処から来たのか?というとC7の♭9thなわけですが、ノンダイアトニックの音が鳴ることで色彩的にも豊かになりますし、出鱈目な響きではなくちゃんと4和音の形態を取っていますので美しく響きます。

鍵盤で弾いてみるとFM7だけで和声付けするよりも別の可能性や広がりがあるわけですが、これはある意味においてクラシックの偶成和音である倚和音とよく似ています。似ているというか、倚和音そのものです。

偶成和音とジャズのアプローチの違いは偶成和音は一切の制限がなく、ジャズのアプローチは一応は種類が限定されていることでしょうか。

用法としてはクラシックの方が自由であり何をやってもいいので面白い響きが作れますし、方向性を決めればそれがフォーレのように自分の個性にも繋がってきます。

何でもアリと言われてしまうと逆に困ってしまう方もいるわけで、ジャズのアプローチのようにある程度限定された内容から取っ掛かりを得てみるのもありかもしれません。

ジャズのアプローチ=クラシックの偶成和音ではないので、あくまで違う角度からの勉強方法のお勧めという意味であり、結局はたくさん色んな作曲家の作品を聴くのが一番かと思いますが(後期ロマンや近代フランスは特に面白いです)、これを勉強しておけばジャズを作曲するときに多いに役に立ちますし、ビッグバンドはこれを理解していないと書くことが出来ないため、ジャズも作りたいという方は手を出してみると良いかもしれません。

お読み頂き有り難う御座いました。

 



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ラヴェル「弦楽四重奏」4楽章アナリーゼ

ラヴェルの弦楽四重奏は近代フランス音楽における屈指の名作ですが、聴いていて面白い、アイデアに富んだ箇所がたくさんあります。

4楽章の和声主体ではなくて、旋律主体で和声がそれに追従するようなフレーズが面白いので今回はその部分に焦点を当てて取り上げてみたいと思います。


動画の23:47秒から。

 

まず冒頭はドミナントの和音で始まります。ラシ♭ソソ#ラという5/8拍子の主要音型がいきりないffで始まりますが、伴奏はなくオクターブユニゾンの単旋律です。

2小節目のA7(♭9,♭13)で一旦和音に解決しますが、♭9thと♭13thの間に音を置かなかったり、トライトーンを強調したりとdu talon(弓の根元で)も相まってかなりエグイ響きを意図的に狙っているようなボイシングです。4小節目はⅤ9の下方変位和音で、短調におけるⅤ9の下方変位の根省というよりは「裏コード」といった方が多分多くの方に通じると思うので、=E♭7と緑で書き加えました。

この4小節だけでも多くのオルタードテンションが登場していますが、ジャズのようにテンションが多いラヴェルやドビュッシーの音楽は日本の和声学の和音記号で書くよりも、むしろコードネームを付けてポピュラーのディグリーで書いたほうが楽な場合が多々あります。

和音記号は古典和声で出来たバロック、古典、初期のロマンあたりまでをアナリーゼするには適切ですが、それ以後の音楽には不便な点がたくさんあり、この辺りが私がクラシックの曲でもアナリーゼでポピュラー理論で行う理由です。

双方にメリットとデメリットがありますが、概ねポピュラーの方が対応出来る幅が広く、分かりやすいと感じています。

冒頭は旋律と伴奏のようなスタイルではなく、基本的に単旋律で出来上がっている楽曲構造です。

次にラシ♭ソソ#ラというフレーズに伴奏的な3和音の和声が付きます。とても単純でA→G→Fという和音ですが、AはⅤ7→Gはメロマイから借用のⅣ(ドリアのⅣ)、♭Ⅲはダイアトニックなので和声だけ見るとちょっとメロマイっぽい感じになります。

そもそも♭1つのニ短調で書かれていますが、ここまで一度も主和音であるDmは登場しておらず、どちらかというと旋法っぽい印象を受けます(フランス風に書くならsolの旋法、ミクソ系の旋法)。

ラヴェルにはこういった旋法的なフレーズはかなりあり、ドビュッシーよりも多いように感じています。

面白いのが小節構造で、冒頭部分が2+2+3で7小節、次にA→G→Fとバスが下行する部分で3小節+3小節+5小節というかなり変則的であえて偶数小節を出さずに奇異な印象を与えようとしている感じです。

拍子の5/8という変則的な拍子に加え、奇数を重視した変則的な小節構造は聞き手に意外な印象を与えます。

この部分はなんとなく旋律と伴奏という感じです。

スコアマークAから旋律に追従した和声が生まれます。主旋律のラシ♭ソソ#ラの下に2ndヴァイオリンが固定長3度(M3)でハモリを付けます。これはある種の平行和音ともとれます。

その後半音階で主旋律が上行していきますが、2ndヴァイオリンは常に1stヴァイオリンに対して長3度のハモリを維持しています。

ヴィオラはレド#ドシという風に半音階で下行していて音型に規則性はありますが、音程まで平行和音というわけではありません。一応コードネームを付けてみましたが、こういう平行和音的なフレーズや半音階ではコードネームからの分析はあまり意味のない行為になります。

 

和声が主体で旋律が生まれているというよりは、旋律が主体で和声が生まれています。

半音階の上行の末に今度は主題が短6度上に移調され、チェロが加わった似たようなフレーズになります。

トップ(1st)とバス(cello)の関係はニ短調の時と同じですが、最初だけ変ロ短調の主和音を鳴らした後は内声が短6度(m6)の固定ハモリで半音下行していきます。最初だけなんとなく調性があり、すぐに崩れていく感じでしょうか。

それを2回繰り返した後は今度はF#7コードに落ち着いて、トップを主題の変奏、内声やバスは半音階や音階下行(F#ミクソ♭6)を反復してスコアマークBに進みます。

どういう作られ方をしているのか?つまり細かい部分をしつこく考えずに、ラヴェルの大雑把なコンセプトを自分なりにまとめてみるのも良いかもしれません。

それは古典和声的な内容ではありませんが、コンセプトさえわかってしまえば、筋の通った内容であることがわかるはずです。

コードネームだけを見てもあまり調的な、または和声的な分析が役に立たず、あくまで旋律が主体でそれに平行和音や半音階で和声が添え物として付けられているので、普通の和声分析(コード分析)が通用しにくい内容になっています。

ドビュッシーにもこういうスタイルはありますし、近代音楽ではそれほど珍しいスタイルではないのですが、明らかに旋律が主体になっており、先に和声があって和声に準じて旋律が作られているような内容ではありません。

ポピュラーでよくあるようにKEY-CでCーAmーDmーGやFーGーEmーAmのように先にコード進行(和声進行)を考えて、それに沿って旋律を付けるという方法やそうやって出来た曲をアナリーゼする方法ではこういった感じの曲のアナリーゼが出来ないため、ポピュラーのみの曲に慣れている方だと「??」となってしまうかもしれません。

BGMを作る時にもこういった手法を知っておくと自分の技術のバリエーションが広がります。スコアを見ていけばラヴェルにはラヴェルなりの考えがあることがわかりますし、それを言葉で説明出来るレベルで理解出来るようになれば真似て作ることも出来ます。時には自分の作品のコンセプトに取り入れることすら可能です。

 

作曲は一人で黙々と作ることも大切ですが、色々な作曲家の色々な作品に(出来れば高度で洗練されたもの)触れることで考え方や視野は広がっていきますので、時に作曲の手を止めて、他人の曲に目を向けるのもあながち無意味ではありません。作曲において自分にはない考え方やアプローチを知ることが出来るだけでも意義はあると言えるでしょう。

この楽章すべてがこのように出来ているわけではなく、こういう箇所もありますよ、という程度なのですが、普段は和声主体の曲のアナリーゼばかり取り上げているような気がしましたのでたまには違った角度からのアナリーゼの記事にしてみました。

お読み下さり有り難う御座いました。

 



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フォーレ「弦楽四重奏」のアナリーゼ

今ちょうど作曲レッスンでも取り上げていますが、なかなか面白いので趣味でフォーレの弦楽四重奏のアナリーゼをしています。

フォーレは時代的にロマン派音楽からドビュッシーやラヴェルへの中間に位置する作曲家で、音楽的特徴はかなり幅広いですが、概ね両者の中間的な技法を使っています。

フォーレは初期から晩年に掛けてかなり作風が違うので、一概にこれがフォーレだと断定的物言いはしにくいのですが、中期から晩年に掛けてはドビュッシーやラヴェルに続くような和声の拡大が見られ、これがなかなか面白いというか興味深いので、最近は好んで目を通している感じです。

弦楽四重奏は老人となったフォーレの最後の作品であり、華やかさみたいな印象はなく、書法は極めて対位法的であり、また簡素で、同時にある種発展的でもありますが、フォーレの和声法の特徴だけでなく、フォーレの対位法の特徴も顕著に顕れているため勉強にお勧め出来ます。

フォーレの和声的な特徴を言葉で羅列すると実にたくさんあるのですが、フォーレの弦楽四重奏からいくつか抜粋してご紹介したいと思います。

和声法 : 基礎理論 大作曲家の和声様式
イヴォンヌ・デポルト, アラン・ベルノー著 ; 永冨正之, 永冨和子訳
日仏音楽出版

独学で学ばれる方は実際の作品のアナリーゼも役に立ちますが、先に上の「和声法 : 基礎理論 大作曲家の和声様式」のフォーレの項目に目を通しておくと、変則的な特徴が理解しやすいのでお勧めです。

 

お馴染みのフォーレ終止

弦楽四重奏 第一楽章 29小節目

上の楽譜の♭Ⅲという進行はよく和声の本などで紹介されているフォーレ終止の類になります(ディグリーはポピュラー表記です)。

ホ短調ではⅣ度の和音はAmですが、メロディックマイナーのⅣ度を活用してAになっています。♭Ⅲという進行をフォーレ終止と呼ぶことが多いようですが、このⅣ(和声では+Ⅳで【ドリアのⅣ】と呼びます)がポイントで、私はⅣがドミナント化されたり、付加6化されても、♭Ⅲ→Ⅳ→Ⅴという進行でドリアのⅣが使われているのであれば、どんな転回形であれ、まとめてフォーレ終止と呼んでいます(厳密にはちょっと違うようですが)。これに類する終止はフォーレの曲にたくさん登場し、フォーレの個性の一つとなっています。

フォーレはメロディックマイナーのⅣ度を用いることを好んでおり、あらゆる箇所で、あらゆる形で多用されています。

 

同主短調の借用を好む

弦楽四重奏 第一楽章 43小節目

フォーレにはかなり同主短調の調域への偏愛が見られます。

ポピュラー理論ではSDM(サブドミナントマイナー)と言って、同主短調のサブドミナント機能の和音を借りてくるテクニックがありますが、フォーレはサブドミナントに限定せずに同主短調の和音をなんでも借りてきます(特に♭Ⅶは好きなようです)。

上の譜例のGB♭F7GM7FDmという進行で、F7(♭Ⅶ)はポピュラー理論の範疇で説明出来ますが、DmⅤm)とB♭♭Ⅲ)は説明が出来ません。

KEY-GではDmⅤm)とB♭♭Ⅲ)はノンダアトニックコードですが、KEY-Gmと考えると両方ともダイアトニックコードとなり、機能分類だと♭Ⅲはトニック、Ⅴmはドミナントになります。

つまり同主短調からサブドミナントだけでなく、トニックもドミナントも借用していることがわかります。そのKEY-Gmの和音が出てくる部分だけを部分転調と考えては駄目なのか?と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、たった1小節の和音1つか2つの短いスパンなので、これは所属転換して考えるのか一般的だと思われます。

 

このテクニックにポピュラー風に名前を付けるなら、マイナーキーのサブドミナントを借りてくることを「サブドミナントマイナー」と呼ぶなら、トニックマイナー?やドミナントマイナー?と呼んでも良いかもしれません。

実際にはⅤmは和声学ではエオリアの7と呼びますのでドミナントマイナーとは誰も言いませんし、3種のマイナーのトニックのことをポピュラー理論でトニックマイナーと呼びますので紛らわしい表現ですが、ポピュラー理論に親しんでいる方にイメージとしてわかりやすい表現ではないかと思います。

 

♭Ⅲの借用には特に名称がないのですが、フォーレは好んで長調のときに♭Ⅲ度の和音を借用和音や偶成和音として用いています(特に偶成では結構多い)。

前述の通りフォーレはポピュラーでいうところのSDMだけでなく、同主短調の和音なら何でも借りてくるのですが、さらに加えてハーモニックマイナーやメロディックマイナーからの借用も数としては少ないものの稀に見受けられます。

これはドビュッシーやラヴェルも受け継いでいる和声法ですが、時代の流れがわかって面白いです。

43小節目のこの部分はKEY-GとKEY-Gmを行ったりきたりしている感じでVn1の主旋律だけを歌えば、マイナーキーですが、内声やバスにシの♮が何度も出てくるので、なんとも不思議な感じがします。

 

ナポリを好み、その用法もかなり自由

弦楽四重奏 第一楽章 6小節目

古典和声においてはナポリは別名ナポリの6とも呼ばれ、第一転回形で使われることが多く、またナポリはⅡの代理なので進行先はⅤ度であることがほとんどです。

しかしフォーレはナポリの和音を4和音の♭ⅡM7で使ったり、ナポリの後の進行先に制限はありません。♭Ⅱ→♭Ⅲや♭Ⅱ→Ⅰや♭Ⅱ→Ⅳなどナポリの和音をほとんどダイアトニックコード同様に扱っています。

フォーレのナポリの用法はポピュラーよりもさらに自由だと言っても良いかもしれません。

一般的には主要和音→代理和音や借用和音という流れが普通なのですが、フォーレはナポリの和音の後に主要和音を持ってきたり、代理和音の後に主要和音に進んだりかなり自由な和声進行を用いています。

 

augコードの愛用

弦楽四重奏 第一楽章 19小節目

フォーレはしばしば調性を不明瞭にするためにaugコードを用います。大抵はその調のⅠかⅤですが、増和音化されることで古典和声の響きとは一線を画した不思議な響きが顕れます。

Ⅴの増和音は古典和声にも登場するⅤの上方変位ですが、Ⅰの増和音、つまりⅠaugやⅠaugM7の出所は思うに平行調のハーモニックマイナーかメロディックマイナーの♭Ⅲaugと思われますので、やはり短調からの借用ということになります。

フォーレの和声拡大の技法はいくつかありますが、短調の方面へのアプローチから発生しているものが多く見受けられます。

Ⅴが上方変位するのは古典和声でも普通にありますが、フォーレの場合はもっと大胆に増和音をまるでダイアトニックコードのように使うことがしばしばあります。

 

フォーレの特徴的な転調(シャラン的転調)

弦楽四重奏 第一楽章 97小節目

シャラン和声によく登場する特徴的な転調方法の1つとして、離脱和音と転入和音の2つの和音間に共通する音を軸にして遠隔調へ一気に転調するという手法があります。

近親調へ進むときもこれは行われますが、遠隔調へひとっ飛びに進むとかなり目立つ特徴的なパターンなので私は勝手に前に書いた作曲基礎理論の本でシャラン的転調と呼んでいます。

正式名称は特にないと思いますが、シャラン和声によく登場するこの手法は元はフォーレがよく用いたもので、フォーレの曲にたくさん登場します。フォーレがよく使うのでフォーレ的転調と呼ぶべきなのかもしれませんが、フォーレは和声の本を書かず、シャランが著したいわゆる和声課題集によく登場することから便宜上シャラン的転調と呼んでいます。

この部分では♭4のFマイナキーから#4つのEメジャーキーへ調号8つ分一気に遠隔調へ転調していますが、この時軸になっているのは離脱和音のBbmのラ♭と転入和音のAM7のソ#であり、このラ♭=ソ#がタイで繋がれて2つの遠隔調を結んでいます。

こういったか細い糸で結ばれた遠隔調への転調はかなり耳に残り、印象的な方法と言えます。

 

実はまだまだ書き切れないくらいたくさんあり、紹介しきれません。ブログの僅かな記事でフォーレの特徴を明確に示すのは到底無理なので、やはり自分でたくさんフォーレの作品に取り組まないと本当のところは分かってこないと思います。

とりあえずレッスンでやっているだけでもこの10倍くらい書くことがあります。ほかにもフォーレには名曲がたくさんあり、BGM製作でも自分の曲でも応用出来そうな技術がたくさんあるので、ほかの曲もしっかりと取り組んでみる予定です。

独学で学ばれる方はフォーレに限った話ではありませんが、特徴的な和声やフレーズを見つけたら、その部分の特徴を文章でまとめて、自分でも真似て似たようなフレーズを作って、さらに移調して何パターンか作ってみると段々と自分の引き出しが増えていきます。

少なくとも単なる技術習得としては有益ですし、気に入ったものはそこからさらにアレンジを加えて、自分の技術としてしまっても良いかもしれません。過去の大家の作品を見ていると勉強になることが多いので、アナリーゼは作曲をやっている方にお勧めできる勉強方法です。

 

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移調楽器を実音で書く人たち

木管楽器と金管楽器の移調楽器はそれぞれ成り立ちが異なり、なぜ移調楽器が存在し、どうして移調楽器用の譜面が必要なのかは多くの方がご存じだと思いますが、普通オーケストラスコアを見るとクラリネット、ホルン、コールアングレ、トランペット、サクソフォン、etc…は移調譜で書かれています。

移調譜面は(特に木管がそうですが)、基本的に演奏者側の都合で存在するものだと個人的には思っていますし、移調で書いてある譜面を読むのが普通だとも思っていますが、あまりにもややこしい譜面になってくると脳内移調が面倒臭くなることもあります。

01

上の譜面はサクソフォン四重奏ですが、コードネームで表すとなんというコードネームになるでしょうか?ソプラノサックスはBb管なので長2度下、アルトサックスはE♭管なので長6度下、テノールサックスはBb管なので長2度下+1オクターブ下、バリトンサックスはE♭管なので長6度下+1オクターブ下です。下に答えがありますが、出来れば自分で楽譜を読んでみて下さい。

サクソフォンについて

これにサックスやクラリネットなど普段から演奏者側で移調楽器に慣れ親しんでいる方以外で、即答出来る方は相当譜面に強い方だと思います。

これを大譜表に直すと下の譜例になります。

001

正解はFM7ですが、実際のサクソフォン四重奏はかなり複雑なので譜面を読むのはそれなりに大変です。

サクソフォン四重奏は実音が一つもないので常に脳内移調で読み進めていきますが、オーケストラスコアでも似たような箇所はたくさんあり、A管のクラリネットとコールアングレとテノールで書かれたバスーンと調号のないホルンのような譜面はト音とヘ音の実音が一つもないので、同じように大変です。

 

01

ト音とヘ音の実音が一つもないケース(バスーンは途中からヘ音)

しかしこれは「慣れ」の問題であり、訓練次第で段々と速くなってきます。レッスンでも移調譜面が苦手という方はいらっしゃいますが、ト音やヘ音が読めるようになったのなら、同じ理屈で移調譜面やアルトやテノールやソプラノ記号も読めるようになりますし、移調も慣れていきます。

 

打ち込みだけで音楽をやっていて、市販のオケ譜面などを一切読まない人にとっては移調楽器は全く関係ないですし、それどころかト音とヘ音さえ読めればアルトやテノールやソプラノ記号すら読む必要はありません。もっと言うならピアノロール主体で作業する人もいるわけで譜面そのものと付き合う必要が全くない方もいると思います。

しかしアレンジの仕事で誰かに演奏してもらう場合にはこういったことは必要になりますし、市販のスコアのほとんどは移調楽器はそのまま移調譜面で書かれていますので、やはり無視することは出来ないのが現状です。

 

とはいえ、面倒と言えば実際に面倒ではあるのですが、むかし千住明のピアノ協奏曲「宿命」というテレビドラマのスコアに手書きのオケ譜面が掲載されていて、作曲家がオケ譜を書くときはすべて実音で書いてありました。

私たちもホルンやクラリネットをDTMでDAWに打ち込む時にB管やF管として打ち込む人はおそらくいない?と思いますが、千住明のような立派な人でも移調譜面は演奏者側の問題であり、作曲の段階では無視しているのがわかり安心?した記憶があります。

 

手書きの譜面の段階で移調譜面で書く人が、果たしてプロの作曲家でどれくらいいるのか私はよく知りませんが、少なくとも出版される段階ではほぼ100%移調されて出版されるのが普通です。楽譜は演奏するために出版されるのですから、移調楽器のパートがすべて実音で書かれていたらクラリネットやホルンの人たちは困るのではないかと思います。

しかしプロコフィエフのようにオケ譜を実音で書いたものもあり、近年でもどうも現場によって色々な考えがあるようです。

01

ピアノ協奏曲2番 第4楽章

ベートーヴェンだとかブラームスだとかドビュッシーの譜面は移調譜があるのが当然ですが、プロコフィエフの譜面を見ているとホルンやトランペットやクラリネットパートに違和感を感じて、読み始めるとたまに「??、、、、あぁー実音か…」となるときがあります。特にホルンが実音で書いてあるのが未だに不思議に感じます。

移調楽器に限らず対位法でもソプラノ、アルト、テノール、バスの記号を別々に使うので、慣れないうちは誰でも大変ですが、トータルで見ればあらゆる譜面に対応出来た方が絶対的に有利です。

どんな練習方法がありますか?と問われることがありますが、移調譜として書かれていない普通の簡単な譜面でも移調譜面やト音とヘ音記号以外の音部記号のつもりで読む練習をすれば段々慣れてきます。

一番簡単なものをご紹介します。

001

例えばこの譜面はヘ音記号で書かれていますが、これをト音記号だと思って読めば当然音は変わってきます。同じ理屈でアルトやテノールやソプラノ記号だと思って読み直せば良い練習になります。

さらにト音でクラリネットのB管だと思って読んだり、F管のホルンだと思って読んだり、D管のトランペットと思って読んだりすればいいわけです(この楽器でこんな音出ないよ、というのは無視して練習します。)。

#や♭が付いていると逆さまにして活用するのに不具合が出ますが、変化記号がない譜面であれば前述の練習に加えて、逆さにして読む練習も出来ます。

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普通の譜面

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上下逆にした譜面

こうすれば一つの譜面で2回練習が可能ですし、移調譜面として読めばさらにバリエーションも増えます。

ほかにも色々な練習方法があるのでしょうが、個人的には実際の譜面に慣れ親しむのが一番だと思います。

 



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公式サイトのサンプルBGMの更新をしました。

公式サイトのサンプルBGMの更新をしました。

こちらからお聞き頂けます。

最近お仕事で作った曲をまとめて30曲くらいアップしましたが、

特に出来が良いのはページ内一番上の「お勧めサンプルBGM」にまとめてあります。

近いうちに過去のボカロ曲などもやり直してアップロード予定です。また作曲の本に続いてアレンジの本を書いていますので、こちらはまだまだ時間が掛かりそうですが、完成しましたらまたブログ内で告知致します。



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トゥルー・ピーク・リミッターとMP3エンコード考察

最近改訂させて頂いたDTMマスタリングのやり方にトゥルー・ピーク・リミッターのことを少し書いたのですが、ブログでもうちょっと考察してみたいと思います。

昨今はトゥルー・ピークに対応したリミッターは珍しくなくなりましたが、トゥルー・ピークとはデジタルデータのサンプル間を繋ぐ時に現れるデジタルデータの振幅よりも大きなピークのことです。

インターサンプルピークとも呼ばれますが、デジタルデータはいわずもがない方眼紙の目のようにアナログ音声をビットレートとサンプリングレートの数値に従って保存しています。ご存じの方も多いと思いますが、簡単におさらいしてみましょう。

 

02

波形を極限まで拡大

波形編集ソフトで波形を最大まで拡大すると上の画像のように1サンプル単位まで拡大することが出来ます(出来ないソフトもあります)。

例えばCD音質の44.1kHz/16bitなら一秒間に44,100回画像のようにポイントを取って保存していることになり、1秒間に何回サンプリング(標本化)するか?を決める単位をサンプリングレートと呼びます。

上の波形データは44.1kHzのものですので、横軸方向の点一つ一つが44,100分の1秒になり、この点が44,100個横に並ぶと一秒分のデータということになります。

次に音の大きさをどれだけ詳細に(何段階で)保存できるかはビットレートという単位で決まります。16bitなら2の16乗で65,536段階となります。上の画像では縦方向の細かさが見られませんが、16bitのデータなので縦軸には65,536段階の区切りがあることになります。

方眼紙の目の細かさと同じで細かいほど実際の音声を正確に保存することができ、数値が小さいと、イメージとしてはドット絵のようになって荒い低音質な音になっていきます。

ここまではデジタル音声の基礎知識で、ここからがトゥルー・ピークの話になります。

 

truepeak

この記事の最初の画像は点と点の間が繋がっていますが、あれはあくまでデジタルデータの点同士を疑似的に繋いでいるだけであって、実際のアナログ化された時の波形ではないはずです。

実際のデジタルデータは上の画像の左側の青い点のように保存されており、44.1kHz/16bitなら横軸の目盛り一つが44,100分の1秒であり、縦軸の目盛りは65,536段あるわけですが、我々がこのデジタルデータを音として聴くためにはスピーカーやヘッドホンからアナログの空気振動に変換する必要があります。

変換される際は右側の画像のように点と点を繋ぐわけですが、0dBを越えてクリップと書いてある部分のようにデジタルデータの青い点そのものは0dBを越えていなくても、実際に再生される際はには右側の緑の線のようになって再生されるのでクリップしてしまう場合があるわけです。

03

アナログデータはこのように波の状態になっています。

デジタルデータ上ではクリッピングしていないため、データをどれだけつぶさに見ても発見することは出来ず、アナログに変換されて初めて起こることですので、私もデジタルデータ上ではDAWのフェーダーにクリップランプが付かないのに、なぜかスピーカーで聴くと「ブチ」っと音割れしてしまった経験があります。

このようにアナログ変換された時に生じるピークをトゥルー・ピークというわけですが、このトゥルー・ピークをリミッッティングしてくれるのがトゥルー・ピーク・リミッターなわけです。

05

Nugen Audio ISL 2 True Peak Limiter

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Flux:: Elixir

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Waves WLM Plus Loudness Meter

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Sonnox Oxford Oxford Limiter V2

Nugen Audio ISL 2 True Peak LimiterFlux:: ElixirWaves WLM Plus Loudness MeterSonnox Oxford Oxford Limiter V2などほかにもトゥルー・ピーク・リミッターが今はたくさんあり珍しくない状態です。

 

私が使っているのはOxford LimiterとElixirがメインでWAVESのWLM Plus Loudness Meterは一応トゥルー・ピーク・リミッターが付いていると言えば付いているのですが、このプラグインはあくまでメーターリングソフトでリミッターはおまけくらいに考えています。

この記事を書くに差し当ってElixirの最新版のインストールをしようとしたら、旧バージョンのアンインストールが上手くいかず、新しいバージョンも入れられず、使えなくなってしまったのでメーカーに問い合わせ中ですが、とりあえず残りのOxford LimiterとWLMでちょっと比較画像を作ってみました。

 

001

オリジナルの矩形波

まずオリジナルの矩形波です。綺麗な直線を描いています。これにのOxford LimiterとWLMのトゥルー・ピーク・リミッターを使ってみます。

 

WLM Plus Loudness Meter

 

 

001

WLM Plus Loudness Meter 拡大

0001

WLM Plus Loudness Meter

WLMはかなり波形の形が変わって「かまぼこ」みたいな形になっています。実際の音楽の波形は言うまでもなくこんな単純ではありませんが、原音をどれだけ歪めてしまうのか?という参考にはなります。

音質的にはWLMは専用のリミッターではありませんので、最終的に使おうという気持ちにはなりません。あくまでメーターリングソフトの付加機能という感じであり、音の質感もあまり好きにはなれません。

オリジナルの矩形波に比べて波形(音)がかなり変わってしまっている点がポイントです。

Oxford Limiter V2

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Oxford Limiter V2 拡大

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Oxford Limiter V2 

 

Oxford LimiterとWLMを比べると明らかにOxford Limiterの方が波形(音)の変化が少ないのがわかります。多少「かまぼこ」っぽくなっていますが、WLMに比べると変化量が少ないのが見てわかります。音質的にはOxford Limiterが好みです。

0001 使用するかどうかは選択できます。

トゥルー・ピーク・リミッター機能が付いているのはOxford Limiterの「V2」からですが、使い方云々というよりは完全にプラグインの性能依存の問題なので色々試して自分が良いと思ったものを選ぶ感じになります。

トゥルー・ピーク問題はこれで一応の解決なのですが、そもそも極限まで音圧を稼ぐ事で発生する問題ですので、トゥルー・ピークが発生すること見越して、ほんの少しだけ(0.5dB程度)予め音量を下げておくという方法を個人的には取っています。

 

MP3などの圧縮フォーマット変換時の問題

MP3やOGGなどに変換する際の波形の乱れから音量が僅かに大きくなってしまう問題もトゥルー・ピーク・リミッターを使えばある程度までは押さえ込めるようです。

01

オリジナルの矩形波(-2.5dB)

オリジナルの矩形波はピークが-2.5dBです。これを320kbpsと192kbpsのMP3フォーマットに変換してみます。

01

MP3 320kbps 少し崩れる

320kbpsでは多少波形が崩れてます。-2.5dBを少しだけオーバーしている(画像の右下が顕著)のがわかりますが、これくらいな大丈夫と思えます。

 

01

MP3 128kbps かなり崩れる

128kbpsだとかなり波形は乱れ、0dBに届きそうなくらい音が大きくなってしまいます。

もし元々のマスタリング済みの波形が0dBまで大きくなっていた場合に、MP3にエンコードしたらどうなるかは説明するまでもないですが、トゥルー・ピーク・リミッターを使えば、bpsが低くてもそれなりに押さえ込めます。

どれだけ波形が乱れるかはエンコーダーの性能やフォーマットやbpsに依存するので、一切の例外なくどんな劣悪なbpsでも大丈夫かどうかは今のところ明言は出来ませんが、bpsが低いほど波形の乱れが大きくなり、私が実験する限りでは、トゥルー・ピークを0dBにした場合、無劣化のWAVEの状態では大丈夫ですが、128kbpsや96kbpsなどの低音質にエンコードするとピークメーターはクリップしなくてもトゥルー・ピークは0dBを越えてしまいます。

 

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トゥルー・ピークを0dBにして128kbpsのMP3にエンコードした場合

色々実験してみて確実に言えることは0dBまで音圧を上げる場合、トゥルー・ピークリミッターを入れたほうがMP3変換時のクリップを避けるには有益であるということです。

こういうことがあるので0dBまで挙げずに多少天井にスペースを作っておくことを私個人としては推奨したいです。

もちろんエンコーダーの性能もあるでしょうし、MP3よりもOGGの方が波形の乱れは少なく高音質です。bpsによる劣化具合も関係するので一概には言えませんし、トゥルー・ピークもDAコンバーターの性能に依存する部分があると思いますが、そもそもMP3化された後のことをどれだけ私たちが考える必要があるかも疑問だったりします。

作品の形態をMP3が最終形態なのか、CDが最終形態なのか、それとも動画の各種フォーマットやOGGが最終形態なのかはケースバイケースなので、私たちが作品を作るときに192kbpsのMP3に変換したときに音割れしないようにしようと考えて、作業する必要はあるのかどうかは難しい部分です。

聴いてくれる方がもっと低いbpsで変換されることがあるかもしれませんし、何処を下限と考えるかは人それぞれ違うと思います。

 

そもそも音楽のダイナミクス表現を潰して、極限まで音圧を稼ぐせいでこんな問題が発生するわけで、私個人としてはいわゆる音圧戦争的なものには反対であり、多少こういったことを考えつつも音が大きければ良いという風には考えずにトゥルー・ピークやMP3エンコードを常識的な範囲で見越して作業しています。

もちろん音が大きいほど良いという風に考える方もいらっしゃり、人それぞれですが、何処を上限にし、何処を下限にするかを考えるのはなかなか難しい問題です。

ちょっと天井を空けておくだけで問題の大部分は解決するので、個人的にはそのほうが良いのかなと、やはり思ったりもします。

最後までお読み頂き有り難う御座いました。

 



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